2015年11月30日

台湾でのセミナー

木曜日に台湾から帰国しました。11月23日には新竹にある国立精華大学で "Complete action of open superstring field theory" というタイトルでセミナーをして、11月25日には台北にある国立台湾大学で "Construction of open superstring field theory including the Neveu-Schwarz sector and the Ramond sector" というタイトルでセミナーをしました。

国立清華大学でのセミナーのあとは、Chong-Sun Chu と小山さんを含む postdoc の方々と夕食に行きました。Chong-Sun Chu とは、ずっと前に私が非可換幾何学に基づくゲージ理論の研究をしていた頃に何回かお会いした記憶がありました。私は正確にどこでお会いしたかは思い出せなかったのですが、Chong-Sun Chu が2000年に KIAS で開催された workshop で会ったことを思い出し、そのときのエピソードまで話してくれて懐かしかったです。Chong-Sun Chu は、今は National Center for Theoretical Sciences の Physics Division の director を務めていらっしゃるそうです。Chong-Sun Chu は香港出身で、夕食は香港のスタイルのレストランでした。レストランまでタクシーに乗って新竹の住宅地を通って行ったのですが、私が子供だった頃の東京の風景と似ていたことが印象的でした。

国立台湾大学を訪問するのは2回目で、パスポートのスタンプを見ると前回は2009年の6月だったようです。そのときのセミナーでは、台湾の各地から日本人の postdoc が大勢集まって驚いた記憶があります。今回も日本人では稲見さん、細道さん、国立台湾大学の postdoc の岡崎さんがいらっしゃり、今後も良い研究交流が続いて行くと素晴らしいですね。稲見さんが中国語を話して学部学生や大学院生と交流して慕われていらっしゃることが印象的で、そのような教育の姿勢を見習いたいと思いました。

前回の滞在でも台湾のおいしい食事を満喫しましたが、今回の滞在でもすべての食事がおいしく、何度か食べ過ぎてしまったことが反省点です。

2015年11月22日

島田君と小松君の滞在・台湾へ出発

駒場素粒子論研究室出身の島田君と小松君が基研研究会の前後の週に駒場に滞在していて、駒場素粒子論研究室は活気に満ちていました。島田君は岡山光量子科学研究所の研究員で、11月18日にセミナーをして頂きました。小松君はカナダの Perimeter Institute の postdoc で、11月4日にセミナーをして頂きました。私にとっても string field theory 以外のことをたくさん議論することができて有益でしたし、研究室の大学院生にとっても良い刺激になったことと思います。

私は島田君や小松君が帰るよりも一足早く、今日、台湾の新竹に移動しました。国立清華大学にある National Center for Theoretical Sciences の postdoc である小山さんが小籠包のおいしい店を案内して下さり、台湾のビールも飲んで夕食を楽しみました。明日、国立清華大学でセミナーをさせて頂き、その後、台北に移動して11月25日には国立台湾大学でセミナーをさせて頂きます。

2015年11月12日

基研研究会での talk

京都大学基礎物理学研究所(基研)での弦理論と場の理論の研究会 "Developments in String Theory and Quantum Field Theory" で、"Complete action of open superstring field theory" というタイトルで talk をしました。国友さんとの論文についての talk は今日が初めてで、今回は20分間の talk でしたが、再来週は台湾の国立清華大学と国立台湾大学でセミナーをさせて頂くことになっています。研究会は明日までですが、私は東京で用事があるため明日は参加することができず、今日の最後のセッションのあとで帰路に就きました。

2015年11月9日

基研研究会

今日から始まった京都大学基礎物理学研究所(基研)での弦理論と場の理論の研究会 "Developments in String Theory and Quantum Field Theory" に参加しています。夕食はニューヨーク州立大学 Stony Brook 校の Leonardo Rastelli と駒場素粒子論研究室出身でカナダの Perimeter Institute で postdoc をしている小松君と食べに行きましたが、早速議論が盛り上がって楽しかったです。

2015年11月9日

3ヶ月ぶりのホームページの更新

前回、2ヶ月以上もホームページを更新しなかったのですが、さらに悪化して今回は3ヶ月以上もホームページを更新していませんでした。前回書きましたように、今まで8月や9月に行っていたことを今年は7月に実施したため、8月はここぞとばかりに研究に集中していました。そのしわ寄せで9月からは忙しくなってしまい、今に至っています。ホームページに書くことはたくさんありますので、これからは少しずつでも書いて行きたいと思っています。

2015年8月4日

国友さんとの論文完成

2ヶ月以上もホームページを更新していませんでしたが、理由はいくつかあり、まず、今年度は東京大学の学事暦が変わり、今まで8月や9月に行っていた大学院入試や学期末試験を7月に実施したため、その影響で例年以上に忙しかったという事情があります。さらに私は今学期が特別に忙しい複数の理由が重なっていたのですが、こういうときに限って5月の中国の成都での国際研究会から始めた京都大学基礎物理学研究所(京大基研)の国友さんとの共同研究で非常に重要な進展があり、論文を執筆していました。昨日、国友さんとの論文 arXiv:1508.00366 "Complete action of open superstring field theory" が完成し、今朝、arXiv で公開されました。

超弦の場の理論では、フェルミオンを記述するセクターを含めた Lorentz 共変な action(作用)が構成できないということが大きな問題でしたが、今日の国友さんとの論文で、開弦の超弦の場の理論でフェルミオンを記述する Ramond sector を含めた完全な action の構成に初めて成功しました。弦の場の理論の研究における悲願の達成です。今は弦の場の理論の研究において非常に重要な時期だと思います。夏休みの間にできる限り研究を進めたいと思っています。

2015年5月24日

第2回大学院入試説明会報告

昨日の第2回大学院入試説明会の相関基礎科学系Bグループの個別説明会に参加して下さったみなさん、ありがとうございました。例年、4月と5月に説明会を開催していますが、4月の説明会は5月の説明会よりも小さい規模で開催していました。今年は、大学院入試の日程が早まった影響もあり、4月の説明会を例年の5月の説明会と同じ規模で開催しましたが、例年の4月の説明会より多くの方々が参加して下さいました。5月の説明会の参加者は減ってしまうのではないかと心配していましたが、Bグループの個別説明会の参加者数は例年と同じぐらいで、2回の説明会を合計すると例年よりもかなり多くの方々に参加して頂いたことになります。全体説明会の参加者数も、2回を合計すると例年よりもかなり増えたようです。この時期は多くの説明会が開催されていて、どこかの説明会と重複してしまうのは避けられないと思いますので、同じ説明会を2回開催する方が良いということではないかと思います。大学院入試の出願期間が迫っていますので、駒場素粒子論研究室に興味のある方々はぜひ出願して下さい。

2015年5月19日

第2回大学院入試説明会

今度の土曜日、5月23日の午後1時から第2回大学院入試説明会が開催されます。詳細はこちらをご参照下さい。説明会の日程は例年と大体同じですが、大学院入試の日程は以下のように例年よりも約1ヶ月早まっています。

修士課程入学試験
出願期間 2015年6月5日(金)〜 6月11日(木)
筆記試験 2015年7月18日(土)
口述試験 2015年7月31日(金)〜 8月2日(日)

プログラムは4月に開催した第1回大学院入試説明会と同じで、まず午後1時から13号館で全体説明会があります。そのあと午後2時20分頃から分野ごとに分かれた個別説明会がありますが、素粒子論研究室は相関基礎科学系のBグループで、個別説明会の会場は16号館1階の119号室です。個別説明会が終わりましたら、16号館3階の311号室での駒場素粒子原子核理論研究室の大学院生との懇談会にぜひご参加下さい。その間、私は16号館3階321A号室におりますので、私ともっと話をしたいという方は、気軽にお越し下さい。お待ちしております。

2015年5月16日

帰国

中国の成都から帰国しました。参加した国際会議 SFT 2015 では3日目に excursion があり、世界一大きいという楽山大仏を見てきました。Ted, 竹嵜君との論文が完成し、次は大森君との論文を仕上げなければなりませんが、その他の project について会議中に議論したり、会議で聴いた talk をもとに新たに計算を始めたり、有意義な1週間でした。日本ではなかなか研究の時間が取れないかもしれませんが、SFT 2015 で受けた刺激が残っているうちに、できる限り研究を進めたいと思っています。

私が MIT で postdoc をしていたときに Barton Zwiebach の大学院生であった Haitang Yang と久しぶりに会いましたが、今では四川大学の Center for Theoretical Physics の director を務めているとのことで、時の流れを感じるとともに、中国に帰って新たな研究の拠点を築いた Haitang の活躍に感銘しました。同じくアメリカにいた頃に知り合って今は中国にいる Bo Feng とも久しぶりに会いましたが、お互いに年を取ったよなあ、と言われてしまいました。

ちなみに食事は朝食、昼食、夕食とも1週間すべて Chinese でしたので、ちょうど別の料理が食べたくなってきたところでした。四川料理はとても辛いのではないかと心配していましたが、辛くないものもあってちょうど良かったように思います。ただ、赤いものだけではなくて緑色のものが要注意で、うっかり食べて唇の感覚がなくなったことが何回もありました。

2015年5月12日

SFT 2015 での talk

中国の成都での国際会議の2日目が終わりました。会議の名前が "String Field Theory and Related Aspects" となっているように、弦の場の理論に関する talk と関連する分野の talk がありますが、今回の会議では弦の場の理論に関する talk は昨日と今日に集められているようで、私は今日の午前中に "A structure from the Berkovits formulation of open superstring field theory" というタイトルで Ted, 竹嵜君との論文に関する talk をしました。

私たちの論文は boson を記述する Neveu-Schwarz sector に関するものですが、Ted は fermion を記述する Ramond sector への拡張に関する talk をしました。国友さんの talk や Ashoke Sen の Gauge Invariant 1PI Effective Superstring Field Theory に関する talk でも Ramond sector の取り扱いについて触れられていましたが、夕食のときに Ashoke や Ted と議論していろいろと理解が深まりました。