2017年1月1日

新年を迎えて

新年を迎えました。私自身も駒場素粒子論研究室の出身ですが、昨年を振り返って私にとって比較的重大であった事件は、私が大学院生の頃から駒場素粒子論研究室の大学院生が引き継いできたものが7月に廃棄されたことです。私としては祖父からの形見が捨てられてしまったような気持ちでしたが、今は教員の立場であり、大学院生が引き継ぐものとしての存在価値が既に失われていたことは明らかです。私にとって駒場素粒子論研究室は大切で、駒場素粒子論研究室とは何なのかと毎日のように問いかけているように思いますが、時代とともに変わって行くべきもの、時代が変わっても守り続けるもの、その振り分けの迷いを断ち切るきっかけとなる事件であったように思います。今、何をするべきなのか、新年を迎えての私の思いは1年前とは違っていますが、一歩一歩進んで行きたいと思います。

2016年12月14日

台湾に到着

ホームページのニュースの欄に書くことがいろいろとあるのですが、更新が滞っています。実は今日、台湾に到着しました。今回の滞在のことも、後々ホームページのニュースに書こうと思います。ちょうど1年ぐらい前に台湾に来たのですが、気候がどうだったかなど、忘れてしまっていました。昨年は新竹の国立清華大学と台北の国立台湾大学でセミナーをさせて頂きましたが、今回は新竹の国立交通大学に滞在します。

2016年11月13日

鈴木さんの集中講義

11月8日から10日まで、九州大学の鈴木博さんに「グラディエント・フローとその格子ゲージ理論への応用」というタイトルで集中講義をして頂きました。集中講義のテーマである gradient flow というのは、Euclid 空間上の場についての仮想的な時間 t に関する1階の微分方程式で、熱伝導方程式に似た構造を持っています。t=0 での場を初期条件として与えて有限の t での場を求めると、t=0 での場についての nonlocal な composite operator になりますが、量子化したときに理論の coupling constant などの繰り込みだけで有限になり、通常の composite operator を定義する際の繰り込みの手続きが必要ではないという著しい性質を持ちます。有限の t での場は繰り込みの処方に依存しないので、例えば dimensional regularization での energy-momentum tensor と有限の t での場の対応を調べることで lattice regularization での energy-momentum tensor を構成するなどの応用があります。

Wilson 流の繰り込み群の flow と gradient flow は似ているところもあるので、もしも物理的に関係付くと面白いと思います。弦の場の理論では相互作用項を定義するときの conformal 変換に由来する conformal factor から相互作用項が nonlocal になり、そのせいでループ積分での短距離の発散がなくなっていますが、この機構が gradienet flow のような観点で捉えられたら面白いかもしれません。最近の Sen の超弦の場の理論での Wilsonian effective action に関する論文は、この nonlocal な相互作用項の変形と Wilson 流の繰り込み群を関連付けるものですが、もしも gradient flow と関係があれば t の値を変える変形に対応します。

9日の夜は、鈴木さんと研究室のメンバーで渋谷のびいどろというスペイン料理の店に飲みに行きました。以前から行きたかった店で、この機会にみんなで行くことができて良かったです。

2016年9月26日

永野君が原子核三者若手夏の学校の優秀発表者賞を受賞!

今日から新学期が始まりました。東京大学では昨年度に学事暦が変更になり、今年度はさらに少し変更が加わったので、私自身もリズムがつかめないでいます。さて、休みの間のニュースで重要なことを書き忘れていました。駒場素粒子論研究室の修士課程1年の永野君が原子核三者若手夏の学校で「ラージ N 極限」というタイトルの発表をして、優秀発表者賞を受賞しました。永野君、おめでとうございます!

2016年9月2日

数理科学

私が「超弦理論と摂動論」というタイトルで書いた記事が掲載された雑誌「数理科学」の2016年9月号「特集 摂動論を考える」が発行されました。私は東京大学の駒場キャンパスで大学1年生や2年生を対象とした授業をすることが多いのですが、超弦理論の宣伝も兼ねてニュートン力学から超弦理論までの現代の物理学の構造を説明し、授業の科目のその中での位置付けを理解してもらうようにしています。そのような文脈で超弦理論に関する質問を受けたり、6月の「梶田隆章教授 ノーベル賞受賞記念講演会・交流会」でも重力波のことや超弦理論のことを学生のみなさんと話したりしていたせいか、そのような側面が色濃く反映された記事になっているように思います。もっと超弦理論の専門的なことに重点をおいて説明した方が良かったかもしれませんが、超弦理論とはどんな理論なのか、素朴に興味のある方は機会があったらぜひ読んでみて下さい。

2016年8月19日

香港科技大学でのセミナー

先週は月曜日から金曜日まで基研研究会に参加していましたが、今週は香港科技大学 (The Hong Kong University of Science and Technology) に滞在しています。昨日は HKUST Jockey Club Institute for Advanced Study(香港科技大學賽馬會高等研究院)で "Complete action for open superstring field theory" というタイトルで国友さんとの論文に関するセミナーをしました。

以前に書きましたように、駒場素粒子論研究室出身の野海君が香港科技大学で postdoc をしていますが、野海君は10月に神戸大学に着任します。私が DESY にいたときに私が担当した summer student であった Pablo Soler も香港科技大学で以前に postdoc をしていたのですが、スケジュールを調整して香港に滞在してくれていて、久しぶりに会うことができました。Pablo は Madison から Heidelberg に移るそうです。11月に台湾の新竹にある国立精華大学でセミナーをしたあとは香港のスタイルのレストランで夕食を食べましたが、昨日のセミナーのあとはみんなで北京ダックを食べに行きました。

2016年8月9日

基研研究会

昨日から京都大学基礎物理学研究所(基研)で開催されている弦理論と場の理論の研究会 "Strings and Fields 2016" に参加しています。今日は Ashoke Sen の talk のときの chair を担当しました。Ashoke Sen とは2ヶ月前のサンパウロでの弦の場の理論の国際会議に引き続き議論することができ、弦理論や場の理論の基礎的な問題について考える良い機会でした。研究会の残りも楽しみたいと思います。

2016年7月28日

夏の学校での発表の練習

日曜日から始まる「原子核三者若手夏の学校」での発表に向けて修士課程1年の坂口君と永野君が準備中ですが、今日、米谷さんが駒場にいらっしゃり、本郷の大森君も私との論文の執筆のために駒場に来てくれていたので、米谷さんと大森君の前で発表の練習をさせて頂きました。5月に私が Sachdev-Ye-Kitaev (SYK) model に関する文献紹介をしましたが、SYK model については米谷さんともぜひ議論したいと思っていたところで、坂口君の発表も永野君の発表も SYK model に関係していますので、今日は良い機会でした。坂口君、永野君、発表の本番に向けて頑張って下さい。

2016年7月12日

高尾山

昨日は研究室のメンバーと高尾山に行きました。年に1度ぐらいのペースで行っていますが、7月は計画しても天気が悪くて延期になったりすることが多く、7月に行ったのは今回が初めてでした。高尾山頂から陣馬山方面にかなり遠くまで行った大学院生もいましたが、私は高尾山口駅の近くに最近オープンした TAKAO 599 MUSEUM に寄ってからゆっくりと6号路を登りました。TAKAO 599 MUSEUM で予習したせいか、いつもよりも植物や昆虫などの生き物を楽しみながら登ったように思います。最後は恒例の高尾山ビアマウントでの食べ放題・飲み放題でしたが、分かっているつもりなのにやはり食べ過ぎてしまいました。時期や一緒に登るメンバーが違うと、同じ高尾山でもまた違った楽しみ方ができますね。

2016年7月8日

基研共同利用運営委員会

7月5日の火曜日には京都大学基礎物理学研究所(基研)での共同利用運営委員会に出席しました。私の委員の任期は今年の12月までですが、基研で出席する委員会としては今回が最後でした。委員になって基研の共同利用のことに大分詳しくなりましたので、これから有効に活用して行きたいと思っています。